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最終日のプーシキン美術館展を駆け足で見てきました。「○○美術館展」というのは、海外からの作品借用が保険料の高騰などで難しくなってきた近年、借り先を一箇所に絞れ、しかも、先方にとってはいい宣伝になるので借りやすいということもあって、頻繁に企画されるようになった形式のもの。そのために、展覧会の内容としては、実につまらないものが多いのですが、まあ、中には「名画」が何割かは入っているので、それを目当てに足を運ぶことになります。
プーシキン美術館には、20世紀初頭の大コレクター、シチューキンとモロゾフのコレクションが収められているので、昨今のトレンドにうんざりしつつも、う~ん、やっぱり見逃せず。目玉はマチスとピカソ。ポスターにもなっていたマチスの『金魚』は、さすが、堂々たる傑作でした。 他にも、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンなど、大御所たちの作品がずらりでしたが、ちょっと目を引かれたのは、ヴュイヤールの小品。この人の絵は、室内を描いたものが多く、壁紙や家具のデザインなどの装飾模様がすべてを覆いつくし、個々のものの輪郭が、その装飾模様の洪水の中に溶け込んでしまうようなものが多いのですが、それは、よく言われるように、ただ「平面的」になってしまうのではなくて、手前にせり上がってくるような不思議な空間をもっています。もう少しちゃんと語られてもいい画家でしょう。 上野のSCAI THE BATHHOUSEではアニッシュ・カプーア展を開催中。こちらは22日までやっているらしいです。こちらも、なかなかのものでした。エコーとナルシスの神話は、似て非なるものですが、その間に生じている「ねじれの空間」――いや、この二つの神話の相違は、「時間」という問題に大いに関わるので、「ねじれの時空」と言うべきか――を現出させた?などと気取って言ってみたくなる展示です。 ついでに宣伝を一言。『美術手帖』最新号に、ほんの小さな記事ですが、A-thingsのことが紹介されました(P.104)。興味のある方は、立ち読みでもしてください。
by 66productions
| 2005-12-19 01:09
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