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9月17日、待望の篠原有司男展が、鎌倉の神奈川県立近代美術館ではじまりました。
17日は、その「オープニング・イベント」として、伝説のボクシング・ペインティングがあり、18日には、作家本人のギャラリー・トーク。「A」のスタッフは、手分けをして、その両方に出席。いや、絶好調の「ギューちゃん」でした。(ちなみに、このボクシング・ペインティング、封印されていたのが90年代に入って復活したのですが、実は、86年にニューヨークで、その前段階がありました。それは、当時の篠原さんのロフトの屋上で実演されたもので、観客はたった4人―われわれも現場にいました。なので、「公開」とは言えないんですが、規模も時間も篠原さん本人のアクションも、その後のどのボクシング・ペインティングと比べても遜色のないもの。あれをやって篠原さんは、復活への自信と踏ん切りをつけたのじゃないかとひそかに思ってますが、このときには、ビデオも回っていたので、ひょっとしたらまだ記録が残っているかもしれません。早速、調べてみることにしましょう。知られざるエピソードですが、関心のある人のために添えておきます。) 驚いたのは、新作『セザンヌについて語る二匹の蛙』が、これまでのテンションをさらに加速した、とんでもない作品だったこと。傑作です。それにしても、鎌倉の展示スペースにあわせて制作されたこの作品、この後どうなってしまうのか、心配になったりもしますが、そんなこと考えもせずにつくってしまうのが、ギューちゃん。 いつも思うことですが、彼の中には、「芸術」の血と同じくらい「芸能」の血が流れています(もちろん、いい意味で)。この「芸能」の血は、「芸術」を撹乱し、ねじ伏せ、鬼子を生み出すデーモン。60年代の浮世絵シリーズなんかも出品されていて、その構成力と速度――この二つが共存することはめったにありません――にも、あらためて脱帽。スーパー・フラットなんて、このときすでに乗り越えられていたのかもしれません (なんて)。 展示やカタログもすばらしく、神奈川県美に三ツ星(★★★)献上です。会期は11月6日まで。
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| 2005-09-19 11:24
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